3月
18
Filed Under (考察) by wsrecords

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結成からなんと25周年を迎え、現在も世界中をツアーしまくっている現役バリバリのオーストラリアのモンスターパンクロックバンド、ハード・オンズが25周年記念を迎えベストアルバム『ベスト・オブ・トゥエンティーファイブイヤーズ』をリリースした。これまでに編集盤は様々な国のレーベルからリリースされているが、今作の内容は彼等の25年の活動をリリース順に並べているものだ。選曲された曲構成といい内容といい、はっきりいってベスト・オブ・ベストです! 特にハード・オンズのもつ類い稀なメロディーセンスが際立つ作品になっている。
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オーバー30な人であれば、ハード・オンズの説明は不要だと思うけれども、なんせ18年ぶりの来日なので誰だ?ってな事になっている可能性もあるので、今回の作品について、ハード・オンズの歴史を振り返りながら収録されている内容を紹介させてもらおうと思う。
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1.SURFIN’ON MY FACE
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–1985年リリースの記念すべきデビューシングルから!演奏力や完成度はまだまだなところがあるにしても、この極上の初期衝動バブルガムパンクから感じ取れる溢れるほどの情熱。リアルタイムでこの作品に出会い、この当時彼等のライブを観ている人に対し本気で嫉妬!壁に寄りかかる骸骨顔の3人が並ぶRayの初期のアートワークもセンスあり過ぎ。1998年にジャケを一新してWaterfrontから再発されたが、やっぱりオリジナルジャケの破壊力は必要でしょう。
2.GIRL IN THE SWEATER
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—1986年リリースシングルのタイトル曲。演奏力、曲のクオリティーも格段に上がっていることから、1年間ですさまじい数のライブ経験を積んで来たことが伺える作品。オーゥオーゥオゥオーゥオーコーラスは自転車に乗りながら何度口づさんだことか!個人的にはこのシングルとの出会いがハード・オンズというバンドに、のめり込むきっかけとなった曲で思い入れも強い。
3.THINK ABOUT YOU EVERYDAY
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—86年にリリースされた中指を立てたおばあちゃんジャケが最高にクールな9曲入り12”からの選曲。「毎日君のことを考えている。」という歌詞の繰り返しがひたすら耳に残るティーンネージャーラブソング。
4.ALL SET TO GO
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—87年にリリースされたシングル曲。メロディーセンス、疾走感、潔さともに文句なし!何よりBlackieのギターの腕が一気に向上していることによりシンプルながらも印象的なギターフレーズが目立ってきている。Keithの字余り気味な歌詞を早口でまくしたてるウタもいいんだこれが。
5.SUCK N SWALLOW
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—こちらも87年にリリースされた2枚目のシングルに収録されている曲。これまでの曲よりもハードロック色が色濃く出ている作品で新境地を繰り出した感じのする作品。パンクロック版AC/DCを思わせる力強いミドルテンポで始まり、途中でリズムを変化させていく展開は、嫌が応にもライブでモッシュピットへなだれ込まずにはいれられない。これはホントにライブ向きの曲だと思います。純粋なハードロックではなく、根底にパンクの精神がある。こういったことが出来るハード・オンズの引き出しの広さが最高なんですよ。
6.ACHE TO TOUCH YOU
7.MADE TO LOVE YOU
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2ndアルバム“DICKCHEESE”(しかしすごいタイトルだよね)に収録の2曲。ポップ度全開の3コードチューンと、縦横無尽に展開していくハードコアチューン。対照的なこの2曲が一つのアルバムに違和感なく収録されていることが、彼等のセンスの良さでもあり他のバンドと異なるところではないだろうか。サウンド的には全く異なるが、後期DESCENDENTSがとてつもなくポップなラブソングとトリッキーな曲を同時にアルバムで披露し、アルバムとして成立させているセンスに近いものを個人的には感じる。ちなみにこの「MADE TO LOVE YOU」とSNUFFの「WIN SOME, LOSE SOME」は全く別の国のバンドが作曲してるのに展開といい、雰囲気といい、よく似てると思う。この2バンドのカップリングツアーを当時企画した人のセンスは素晴らしすぎると思う。
8.JUST BEING WITH YOU
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2ndアルバムがオーストラリア国内のみならず、イギリス(VINYL SOLUTION)、アメリカ(TAANG!)からもリリースされた。ようやく全世界がハード・オンズに注目し始めた88年後半、その人気に追い討ちをかけるように新たに投入したシングルのタイトル曲。現在もライブで盛り上がりを見せる哀愁の名曲。リリース当時始めてこのシングルを聴いたときは、なんだか落ち着いちゃった感がしてあまり聴く機会がなかったが、友人宅ででかい音で聴いた時にすげー良い曲だったんじゃないか!と思わず声にしたのは言うまでもない。中期以降のRAMONESを思わせる泣きメロな曲で、RAMONES直球フォロワーだとこの辺りのサウンドを目指しているバンドでRICHIESというバンドがいるけど、ぶっちぎりでハード・オンズのソングライティングの勝ちですよ。この曲RAMONESのアルバムに収録されていても名曲って絶対言われるだろうな。この年にはイギリスのSTUPIDSとなんとも豪華なツアーもあった。出来ることならまた一緒にツアーして、そんで日本に来て欲しい!
9.GET WET
10.YOU’RE A TEASE
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ポップさとハードさを共存させオンリーワンなハード・オンズ・サウンドを確立した89年リリースの名盤3rdアルバム“LOVE IS A BATTLEFIELD”からの2曲。多くの日本のパンクファンが最初にハード・オンズを聴いたのがおそらく、1stアルバム“DICKCHEESE”とこの2ndアルバムのカップリングCDとなる日本盤だったと思う。ミドルテンポで引っ張って引っ張って、一気にファストチューンで爆発する「YOU’RE A TEASE」の切ないメロディーに泣きながら部屋でモッシュしたのは俺だけではないハズ。なぁグングン(笑)。
11.WHERE DID SHE COME FROM?
12.WAIT AROUND
13.SIT BESIDE YOU
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—90年にリリースされた4thアルバム“YUMMY”から。リリース当時は、全2作で披露したハチャメチャなパワーが欠如したアルバムと賛否両論された気もするが、ポップなナンバーのメロディーセンスはこのアルバムでネクストレベルに達したと思っていて大好きな作品。先行シングルにもなったこれまた恐ろしいほどにキャッチーなナンバー「WHERE DID SHE COME FROM?」の耳に残る美しいギターリフ、これすごくないですか?!ドレミファドンで流れたら速攻回答出来るよ。そしてこの曲のプロモが恐らくふざけて作ってるんだけど、アイドルっぽい感じを出したりと面白いです。
14.NOTICE ME
15.I DO I DO I DO
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BLACK FLAGのヘンリー・ロリンズとの驚きのコラボ作品等を経て、第一期ハード・オンズのラスト音源となる93年リリースの5thアルバム“TOO FAR GONE”より。POSION IDEAのJelly AとSlayer Hippieが参加してるっていうパンクロック的ビッグニュースもあります。前作“YUMMY”の延長線上のサウンドながら個人的には若干陰りのある感覚がアルバムを通し支配している。恐らくこのアルバムはセールス的にあまり良くなかったと思います。しかし聴き直すと相当いいアルバムなんですよ。リリース当時は速いスコスコポップパンクに夢中だったし。「NOTICE ME」はHUSKER DUを思わせる曲でUKメロディックのDRIVEファンもきっと気に入るハズ。個人的に彼等の曲の中でも上位に喰い込む涙曲「I DO I DO I DO」のサビでの繰り返しコーラスワークに苦しいほど胸を締め付けられる。
16.YOU DISAPPOINTED ME
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—再始動の噂を聞いて新作のリリースを今か今かと待っていた99年。まさかのシングル3連発!その第一弾の4曲入りのCDシングル“YESTERDAY AND TODAY”に収録の新生ハード・オンズの象徴といえる60’sフレーバーがたっぷり詰まった極上のバブルガムポップ。初聴時はこれまでのサウンドと違和感を感じたが、逆に単なる一時的な再結成ということではなく、完全なる復活であることを感じうれしかった。これを聴いたうちの母もすごい良い曲ねと言っていたというどうでもいい事実もある。
17.FALLEN STAR
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—ヨーロッパツアー終了後の2000年9月にオリジナルドラマーKeishの突然の脱退のニュースが飛び込んできて、早くも解散してしまうのかと思っていたところにリリースされた6thアルバム“THIS TERRIBLE PLACE”(2001年)に収録されている曲の中でダントツのメロディーを発揮している曲『流れ星』。パンクロック版BIRDSといったところか?!でも、ここで聴けるサウンドは、疑うことなくパンクロックだ!歪みまくったディストーションギターサウンドに、絶妙なポップメロディーの絡みは美しすぎる。このアルバムまでKeithがボーカル/ドラムを担当している。この曲は無職になって一人旅in仙台で繰り返し繰り返し聴いていたので、聴くたびに独眼竜伊達政宗が瞼の内側に出てきて恐い。
18.RACE TRACK
19.BAKA
20.WILD CAT
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Keish脱退後、すぐにPeteを迎え入れ、怒濤のヨーロッパツアーを敢行。ネット上にあがった新体制でのライブの感想や映像を見ても、ハード・オンズはハード・オンズでしかないということだった。2003年リリースされた“VERY EXCITING”。さらに激しさと厚みを増したこのアルバムが、アメリカ盤はBOMP!からということは衝撃だ。しかもBOMP!リリースにしては激し過ぎる。恐らく前作を期待してのオファーだったんだろうな。Blackieが再びリードボーカル(ハード・オンズのオリジナルボーカルは彼なのです)に戻った作品だが、全く違和感がないのにはビックリ!「RACE TRACK」はカウント30を繰り出す彼等らしいアホっぷりに笑える。「BAKA」は曲名とは裏腹に前作で見せた60’sロックなスィートポップな名曲。
21.WHAT WOULD STIV BATORS DO?
22.STOP CRYING
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2006年リリースの8thアルバム“MOST PEOPLE ARE A WASTE OF TIME”から。今作品は、彼等のポップな側面を中心としたアルバムで、ポップパンクとして彼等を捉えている人にとっては久々に嬉しかったアルバムではないでしょうか。「WHAT WOULD STIV BATORS DO?」はStiv Batorsに捧げた曲。
23.BOTTOM FEEDERS
24.CARROT TOP
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目下のところの最新アルバムとなる2008年リリースの“MOST PEOPLE ARE NICER THAN US”から。前作とは二部構成というコンセプトアルバムのようで、攻撃面を中心とした曲が中心となる作品。初期の頃の激しさを感じさせるダーティーかつロウなハードコアやスラッシュチューンが矢継ぎ早に繰り出される。時折除くポップなメロディーがひときわポップに聴こえる位、アグレッシブ!これを聴きながらの自転車やスケボーは危険過ぎる。出来ないトリックが出来ると思い込んでしまいます。
25. EVERYONE SEEMS TO BE OUT TO GET YOU
この音源のために2008年12月に録音された新曲。次のアルバムの伏線となる作品。ハード・オンズならではの、極上ポップソング。ライブで轟音でやられたら確実に死んでしまうだろう。目を瞑って聴くとダイブで気持ち良さそうに頭上をゆったりと転がる人がはっきりと浮かぶ浮遊感のあるムードが気持ちいい。

総括します!甘い曲はひたすら歌詞もメロディーも甘く、ハードな曲はひたすら激しくフロアーを修羅場とかす爆発力をもっているけど、俺たちは自分達が好きなことをやるだけさ!とでも言っているかのような最高なロックンロールバンド!シンプルなサウンドながらも、モールのCDショップで買うことの出来る爽やかパンクロックバンドじゃ絶対に到達することの出来やしないライブバンドハード・オンズ!

最後に彼らがどんだけ凄いライブをやるかを伺えるストーリーがある。12歳の時に初めてハード・オンズのライブを観たNOISE ADDICTのBen Leeは、その場でパニック障害に陥って泣き叫んでしまって救急車を呼んだかして彼を落ち着かせたそうだ。後に彼は「最も恐ろしいロックンロール経験だった」と語っている(これ事実みたい。どんだけ恐かったんだろw)。絶対に損をさせない圧巻なエネルギーを感じるステージングなので、絶対に機会があればライブに足を運んで欲しい。オーバー30の人も18年前の後悔をしないように!


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