2020年4月に予定されていたMoving Targetsの初来日ツアーは残念ながら、コロナパンデミックの影響で延期となっておりましたが、ついに2023年実現することになりました!やったーーーーー!ついに彼らの動く姿が生で見られるなんて最高!招聘はもちろん2020年に計画をしていたCRADLE TO GRAVEとSPY MASTERでベースを弾き、SQUIRRELFOXというレーベルを運営しているヒデちゃんでっす。

再始動後はこれまでに3枚のアルバムをリリースし、現役バンドとして精力的に活動している彼ら。俺が彼らの音楽に最初に出会ったのは、DOLL No.84(1994年8月号)に、現Snuffy Smilesの栄森さんが寄稿した『メロディック狂必聴ディスク40選』で紹介されたことや、同氏が当時DJをしている時に流していたレコードからだった。そこから、手に入る音源は片っ端から手に入れて、初期の荒々しいサウンドではそのスピードにぶっ飛ばされて、中期以降のアルバムでは聴くごとに感じられる渋さとアレンジ能力の高さを堪能させてもらった。

Moving Targetsの歴史は、1982年の夏、ケニー・チェンバーズとパット・レナードが前身バンドIron Cross(1979 -1980)とは違うことをやるためにMoving Targetsを結成したことで始まる。結成当初はBad BrainsとMission Of Burmaに影響を受けていたが、83年2月にリリースされたHusker Duミニアルバム「Everything Falls Apart」のギターサウンドに大きな衝撃を受け、そのサウンドも攻撃性を増し、そのことがきっかけとなり、ボストンではProletariat、Necros、Negative Approach、Toxic Reasonsなどといったハードコア勢とも一緒にライブをやるようになる。ここまでは、ただの1ローカルバンドに過ぎなかったのだが、Conflict Recordsのコンピレーションアルバム「Bands That Could Be God」に誘われて録音した”Changing Your Mind”、”Waiting For The End”、”Selfish”が各方面から絶賛され一気に彼らの名は知られることになっていく。

俄然、やる気を出した彼らはついに85年アルバム「Burning In Water」を制作し、Taangと契約を結び、2ndアルバム「Brave Noise」(89年リリース)、3rdアルバム「Fall」(91年リリース)と続々と作品をリリース。そこからの彼らの活躍はみなさんご存知のように世界中に影響を与えるまで徐々に上り詰めて行くのだった。しかし、このすぐ後にバンド内部は色々変わっていってしまったようだ。93年にリリースされた4thアルバム「Take This Ride」ではこれまでのメンバーはケニー以外いなくなり、この作品は実質、彼のソロアルバムのような感じになってしまった。そして、活動停止。その後ケニー・チェンバーズはソロとして活動していくことになる。けれども多くの人はMoving Targetsの復活を待ち続けていたのだった。ただ、ケニー・チェンバーズ自体はオリジナルメンバーの死などもあり、Moving Targetsを再び動かすことに興味はなくなっていたそうだ。

2016年Boss Tuneageが彼らの初期を含めたデモ音源をリイシュー。すると、Moving Targetsが大好き過ぎて全ての曲を完璧に演奏することができるカナダの若者2人がケニー・チェンバーズの心を動かしたのだった。そして、ついにその若者2人と共に新生Moving Targetsは始動。

2018年にヨーロッパツアーを行い圧倒的なライブパフォーマンスで賞賛された新たなMoving Targetsは、現在進行形のバンドとして完全復活を遂げる。その翌年である2019年に25年ぶりとなる復活第一弾フルアルバム「Wires」を世に送り出した。これはマジで感動した。あのMoving Targetsがリアルタイムで復活して新作をリリースしてくれるなんて。

翌年、コロナパンデミックにより全米ロックダウンのわずか数時間前にアメリカを旅立ちカナダで制作された「Humbucker」。もしかしたら当分再入国できないかもしれない状況で、飛び出ちゃうってすごい行動力だよな。

そして2023年現在、彼らは一切歩みを止めていない。J.Robbins (JAWBOX、BURNING AIRLINES、etc)を迎えてMagpie Cage Recording Studioでレコーディングを行い産み落としたのは復活後3枚目のフルアルバムとなる「In The Dust」。この最新作は、ぱっと聞きだと地味な印象を受けるかもしれない。だが、聴くごとにどんどんその良さが染み込んできて気付いた時にめちゃくちゃハマるアルバムだ。

彼らのレコードを聴くたびに思うことは、多くのバンドがHusker Duと並び、Moving Targetsに影響を受けていることがわかるだろう。特にDrive、Exit Condition、Midway StillといったUKメロディックバンドの音源も聴き直してみて欲しい。かなりパクってんじゃんと思うフレーズもあったりするんで。

こうして精力的に活動を続けているMoving Targets。今回の日本ツアーはバンドが切望し実現するもの。過去に比べるとぽっちゃりしたケニー・チェンバーズだが、歌声は全く衰えることなく、より説得力を増している。3年待たされましたがついに実現するんだ。これは絶対に見逃せない。

MOVING TARGETS “JAPAN TOUR 2023”

5/3(水)東京ー鶯谷WHAT’S UP

5/4(木)大阪ー難波BEARS

5/5(金)京都ー京都POP! PIZZA

5/6(土)愛知ー名古屋246

5/7(日)横浜ー天王町OLIVE

5/8(月)東京ー新代田FEVER

前売予約の詳細は招聘元のSQUIRREL FOXへ。伝説のメロディックパンクバンドの初来日見逃さないでほしい!
https://squirrelfox.wixsite.com/squirrelfox

ちなみに復活後にドラムを叩いているEmilienは、現在のNILSにも参加しているし、WaterslideでリリースをさせてもらったTHE LAST MILEでも活動中というわんぱくぶり。

復活後のMoving Targetsの音源はこちらから


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