3月
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Filed Under (考察) by wsrecords

SNUFFの登場で人生が変わってしまった人は何人になるんだろうか?!80年代後期すさまじいスピードにポップ全開なサウンドで登場!US勢では決して出せないUKバンド特有の陰りのある泣きの哀愁メロディーとユーモアを兼ね備え、日本のメロディックパンクに影響を与えまくったバンドの中心人物・ダンカンレッドモンズ。その男が、世界中のアーティストとともに制作したコラボ作品が登場。これが「おかあさーん、大変なことになってるよー」と叫ばずにいられない、新旧問わずSNUFFファンであれば絶対に聴かなきゃ損な内容!だって初期SNUFFのギタリスト、サイモンだけでなくUKメロディック界のあの人もこの人も参加してるんですもの!

今でこそUKメロディックという言葉も定着してる感もあるけど、この言葉はSNUFFの登場と共に産まれたものだと思う。それまでのUKシーンと言えば初期パンクロックの低迷後は、DISCHARGE、G.B.H.、EXPLOITED辺りの革ジャンハードコア勢の台頭、そしてそのシーンに影響を受けイギリス全土に種が蒔かれ、様々なローカルシーンからCHOAS UK、VALUKERSといったバンドが産声を上げた。80年代中期辺りになるとシーンもメインストリーム中心のハイプなものじゃなく、地下へ活動拠点を移しDIYの精神を掘り下げバンドごと独自に世界中のバンドと交流を持つネットワークを築いていった。この辺りのバンドのサウンドはUSハードコアから影響を受けたものが多く産まれた。みんなも知っての通りHERESY、STUPIDS、CONCRETE SOX、RIPCHORDといったバンドがこれまでの伝統的なUKハードコアスタイルのサウンドから、はっきりとUSハードコアの影響を多大に感じさせてくれる新たなスタイルの刺激的な音楽スタイルを提示している。その流れから限界まで速度を極めたグラインドコアとカテゴライズされたNAPALM DEATHが登場した。しかし、これまでに様々な文献でも議論されているけど、このNAPALM DEATHの商業的な成功がこれまでのUKシーンを全く面白くないものへと変化させてしまったと個人的におれも思っている。またしても、メジャーなメディアが続々とハイプを産み出し始めていったし。同時期にUKの音楽シーンは日本でも盛り上がった訳の分からないお下劣な名前のオマンチェというダンスミュージックとロックの融合に乗っ取られてしまっていた。

そんな状況だったからUSに目を向けるとLOOKOUTやEPITAPHといったレーベルが登場してきて面白いことになりそうな感じだったので、UKはもういいかなと個人的に思い始めた矢先に突如登場し、自分を含めて数々の人を熱狂させたのがSNUFFの登場だった。

ハードコアなのにポップ、そしてUK独特の陰りのある哀愁度全開なメロディー。服装なんかも飾る事がなくまさに直球な等身大のサウンドには共感した個人的なSNUFFとの出会いは高校生の時。新宿のレコード屋さんで壁に飾られていた海岸沿いに並ぶ6人の警官の写真のジャケに釘付けになった。裏ジャケはライブ中のダイブ写真とくれば、嫌が応にも惹かれるってもんでしょう。ターンテーブルに載せてイントロが流れてきた瞬間、スピーカーの前で身動きが取れなくなっていた。そして2曲目の時点でその音の虜になってしまっていた。

リリース作品は全て購入してレコードが擦り切れるほどに聴きまくった。ギターも耳コピした。オーバー30な人でおれと同じ様にSNUFFからガッツンと鈍器で殴られたような衝撃を受けた人は相当いると思う。もちろん彼等の周りを取り巻くシーンで同時期に活動していたLEATHERFACEやMEGA CITY FOURにも同じ衝撃を受けたけど。3rdアルバムリリース後、解散した時はホント悲しかった。だから解散後にダンカンがGUNS’N’WANKERS、サイモンがYOUR MUMで活動を始めた時にはホントうれしかった。両者共にスタイルこそ真逆であったけどSNUFFを感じさせてくれる最高の内容だったし。95年にSNUFFは再結成を果たしたが、そのSNUFFにはかつてのように入れ込むことができなかった。そこには当然サイモンもアンディもいなかったということもあるのかもしれないが、ファンなサウンドが中心となり、かつてのSNUFFにあった陰りのある哀愁が薄れてしまっているからだと思う。もちろん現在でもリリースすれば新譜も買っているし好きな曲も多いんだけど。あくまでも個人的な視点ということです。
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しかしですね、今回リリースされたダンカンの作品は、初期のSNUFFファンで現在再結成後のSNUFFを聴いていない人にとっても聴いて欲しい内容なんですよ。ダンカンが様々な人とユニットをやっているものをまとめたものなんだけど、この参加している人達が絶対に無視出来ない人選であるし、なんといっても音自体が、初期SNUFFファンも、聴かないと損してしまうことは間違いないと断言出来ます。豪華すぎるので一つ一つのユニットにコメントしていかないともったいない!


記念すべき1曲目を飾るのは個人的にはうれしすぎるユニット。そう思うのはおれだけではないハズだ!なんとLEATHERFACEのフランキーがボーカルギターを取る『THE PISSMOPS』!UKメロディックの二大巨頭がタッグを組んだユニット名は、ホントふざけてるけど内容はまさにこれメロディーも展開もLEATHERFACEとGUNS’N’WANKERSの融合そのもの。これが悪いわけないじゃないですか?!LEATHERFACEファンならこのユニットのためだけに手に入れても全く問題ないですよ。このユニットでなんとアナログオンリーのボーナストラックを含めて5曲も収録されてるし。

『ROMMEL AND MONTY』は91年から94年まで活動していたハンブルグの母国語ハードコアバンドDIE BLUMEN AM ARSCHE DER HOLLEのJENSENと組んだユニット。JENSENは元々ANGESCHISSENという80年代に活動していたパンクロックバンドにも在籍していたベテラン中のベテランでもあります。バックトラックはSNUFFそのものなのに、ボーカルが違うだけでかなりストレートフォワードなパンクロックに仕上がっていてなかなか面白い。

またもや爆弾なのが『POT KETTLE BLACK』!このユニットは、なんとSNUFFの初期ギタリスト、サイモンと組んだもの。これだけでテンションあがるっしょ?!イントロでサイモンのギターが聴こえてきた瞬間に震え上がりました!噂ではサイモンとダンカンが再び手を組んだことを聞いていたけど、結局正式には活動していなかったような話だったので、音源があったことに驚きです。ダンカンのボーカルの後ろでサイモンのミュートギターが鳴っているとやっぱこれこれ!これだよなぁと思ってしまいます。この二人が作り上げるサウンドはURIN 8以来ですかね。このユニットの音源もうれしいことにアナログオンリーのボーナストラックを含む5曲収録。

4曲目はユニット名こそないがカナダのNO MEANS NO/HANSON BROTHERSと組んだもので、これはどちらかというとHANSON BROTHERS色が強いラモーンパンクに仕上がっています。PINHEAD GUNPOWDERとか好きな人もドツボな展開だと思うよ。しかしNO MEANS NOも出てくるなんてダンカンの交友関係広いな。

5曲目はこれまた生粋のUKメロディックファン失神のユニット!DEPRAVED〜VISION OF CHANGEのダブルマーフィーことイアンとリーが登場!!しかもリードボーカルはイアンです。リーは再結成後のSNUFFでキーボードを弾いているので驚かないがイアンを投入してきたとは、恐るべし。この曲もマジかっけーです。

続いては一般的にもっとも豪華なユニットではないでしょうか。NOFXのファットマイクとケンヨコヤマさん参加でファットマイクがメインボーカルです。

そして初期SNUFFのマネージャーも務めていたりツアー限定7″シングルもリリースしているSEAN RUGGER BUGGERことUKメロディック裏番長率いるHARD SKINとのユニットは3曲提供。こちらはダンカンが2曲コーラスに廻ってることもありHARD SKINまんまな80’s Oiリバイバルな楽曲って感じです。

9、10曲目の2ユニットはダンカンがこれまでに活動してきた『BILLY NO MATES UK』と『GUNS’N’WANKERS』。B.N.M.U.K.はドノバンのカバーでアレンジセンスはさすがというところ。そしてGUNS’N’WANKERSは未発表曲を提供。これは正直未発表曲だなというちょっと残念な内容だな。

お次は、現SNUFFのロズとリーによるユニットで、やはりこのメンツならではの現在のSNUFFっぽい感じ。

BLAH BLAHは会話を録音したものだが、恐らくこれは声を聞く限りHARD SKINのメンバーとの会話のように感じますね。ショーンの笑い声が特徴です(笑)。

『BILLY NO MATES JAPAN』はライブ音源とスタジオ録音の2曲。

もう驚きはないだろと思って聴いてた矢先に最後に強力なのが潜んでいます。『NANNERY WAFT feat. PISS`N`BISCUITS』なるこのユニット、またしても往年のUKメロディックパンク好きには失禁も当然のメンツです。ボーカルは昨年ディスコグラフィーCDがリリースされたABSのバズ、そしてギターは同じくかつてのバンドHDQの名盤2nd、3rdアルバムが昨年リリースされたHDQ〜LEATHERFACE〜DR.BISON〜STOKOEを渡り歩くギター職人ディッキーによるユニット。これはまさに、この二人がかつてやっていたDR.BISONにダンカンがドラムで加入したような曲。

こんな感じの内容で極上なUKメロディックコンピレーションアルバムを聴いているかのような作品。正直、単なる企画ものじゃないかと思っていたけど凄まじく強烈な作品になっているので、自分のリリース作品じゃないけど、SNUFFを好きな人は当然な内容だけど、過去に好きだった人にも絶対に聴いてもらいたいと思います。当時SNUFFのライブに一緒に行っていて現在全くパンクに興味が無くなった自分の周りの友達にお前らも戻ってこいよというメッセージを込めて絶対に聴かせますね。そのくらいオススメできます!

最後にこの音源にも参加している初期SNUFFのギタリストSimonの現在進行形バンドSOUTHPORTが、ついに来日する予定です!!現在このバンドでベースを担当しているのはBLOCKOのLloydで、ドラムはMIDWAY STILLのDecというなんとも期待が高まるラインナップです。


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