old interview with Aston Stephens(BOSS TUNEAGE RECORDING COMPANY)

ただ君たちがやりたい事をすればいいんだよ!とにかく好きなバンドの最初のリリースをしなよ。

UK MELODIC UNDERGROUND SCENEの大御所として90年から活動開始、そしてその後、精力的な活動をして数多くの素晴らしいバンドを輩出したBOSSTUNEAGE RECORDS。 GOOBER PATROLの1ST SINGLE、1ST&2NDALBUM(全て現在廃盤)を始めとしてHDQ(後にLEATHER FACEのメンバーとなるRICHIE HAMMOND、ANDREWが在籍、現在FATTY JONESとして活躍中)、SOFAHEAD、WORDBUG、HOOTON 3CAR等の才能を早くから見出しリリースしていて、マメなUK MELODICファンなら当然チェックしてるレーベルですよね。一時活動を停止していましたが、99年再びその活動を再開!!(感謝) 今回はレーベル主催者であるASTONにE-MAILでのインタビューを試みました。

▲まずはじめに自己紹介してよ。

Aston(以下:A)「 はい、Astonです。ここイギリスでBOSS TUNEAGEっていうレーベルを4年振りに再開したよ。今までに30タイトルぐらいリリースしてる。」

▲このレーベルって、1人で始めたの?

A「 基本的には、僕が自分のバンドをやったり、FANZINEを書いてて、そのNEXT STEPって感じで始めたんだ。最初は実家にいたから両親もメールオーダーのやつを送ってくれたりと手伝ってくれてた。もちろんその当時付き合っていた彼女も手伝ってくれたけど僕一人で始めたレーベルだよ。

▲いつから始めたの?

A「最初のシングルをリリースしたのが90年の4月だけど、その前に6ヶ月ぐらい準備に時間がかかったから、多分89年の終わりぐらいかな。10年前だ!うわー驚きだよ! 始めた時は17歳でまだ学生だったから自分が何してるのかも分からなかったよ。」

▲なんでレーベルを始めよう!! って思ったの?

A「あの当時イギリス中のレーベルはMEANTIMEやVINYL SOLUTION/DECOYを除いて、Brit-coreっていわれるNAPALM DEATHとかEXTREME NOISE TERRORみたいなバンドにしか興味を持ってなくて、誰一人としてどんどん出て来た新しいメロディックパンクバンドをリリースしようとしていなかった。だから、それを僕がやろうって思ったんだよ!その時に僕はすでに自分のファンジンをやっていて何本かのコンピのテープ出してたから、そこからただ単にそれが発展してったんだ。」

▲80年代後半から90年代初頭ってどんどん新しくてかっこいいバンドが出て来た時代だよね。例えば、初期SNUFFとかLEATHER FACE、MEGA CITY 4、MIDWAY STILL、HDQ、SOFA HEAD、EXIT CONDITIONとか挙げたらきりがないけど。イギリスだけじゃなくて世界中でもDOUGH BOYSとかみたいな刺激的なバンドがたくさんいたよね。そういった状況下においてVEHICLE DEREKとGOOBER PATROLのSPLITシングルを最初のリリースに選んだ理由を教えて。

A「うん。本当に僕もそう思う。あの当時って本当にたくさんの新しくてかっこいいバンドがいたよ。みんな新鮮で本当に刺激的だった。当時僕は学校に通っていて、まだ両親と一緒にLINCOLNSHRINEっていうイギリス中東部に住んでて、そこが本当につまらないんだ。何もする事がないんだよ!VEHICLE DEREKの連中は僕の近所に住んでて、同じ大学にも通ったんだけど、彼等がライブとかやりはじめて。そう、実際に僕が初めて見に行ったPUNKSHOWってMEGA CITY 4、SNUFFとVEHICLE DEREKがでた88年の11月で、それがSNUFFがロンドン以外でやった初めてのショーだったんだよ。だから誰もSNUFFの事を知らなっかたけど、彼等はすごい衝撃的だった!!もちろんVEHICLE DEREKも良かったよ。奴等のショーはとにかく楽しくて馬鹿げてた、だけどもし彼等がもう少し真面目なバンドだったら絶対SNUFF位に有名になってたと僕は今でも信じてる。本当に勿体無いよ。話を戻すと、最初のシングルは 当時僕のいたバンドとVEHICLE DEREK、 僕の近所にいた あと2バンドで 4バンドのコンピにしようと思ってた。そしたらVEHICLE DEREK以外のバンドが全部解散しちゃって。それで最初は彼等だけの単独シングルにしようと思ったんだけど、彼等はまだ無名で500枚は売れないよ、誰かとSPLITのスプリットにしたいって言ってきてさ。丁度その時、僕がファンジンでGOOBER PATROLにインタビューしてデモテープをもらってたから彼等に声をかけたんだ。本当はまだ何も音源を出してないバンドをリリースしたかったんだけど。そんな理由かな。うーん、最初のシングルかぁ、実は僕はあんまり気に入ってないんだよ。でも評判はすごい良かったんだ。多分当時はああいった感じのバンドがいなかったし。」

▲じゃあ、何かその当時の面白いエピソードってある?

A「そうだなぁ。GOOBER PATROLのツアーに3ヶ月一緒に行った時はかなり楽しかった。学校の休みの時期に僕が彼等のブッキングして。ツアーは楽しかった。一番良かったのは僕のリリースしたシングルを売ってくれているイギリス中の人に会えたからかなぁ。レーベルの一番の失敗は僕の気分が変わってTHERAPY?の1st SINGLEになったDAMAGEのシングルをリリースした事だな。」

▲WORD BUGのシングルをリリースしたあと、急にレーベルの活動を停止しちゃったみたいだけど、それはいったい何でだったの?何かあったの?

A「えぇーと、それはね、その当時(1994)僕は大学に通ってて、僕がしたかった事が解決しちゃって、っていうか結局は僕がレーベルを続ける興味を失しなちゃったからだと思う。GOOBER PATROLと大きな問題を抱えて(MRRとかに彼等に中傷の手紙を送られたり)、もう今はそれは解決して平気なんだけど、その時期は彼等の事を昔から助けていたのにそうなったことに対して頭にきていたし。僕はいろいろな人を信頼していたのに、裏切られてしまったり、94年の時点で僕は5000ポンド(90万円位)の儲けがあったんだけど、その証書も燃えてしまって、そのお金も取り戻す方法も失ってしまった。また僕は(7年経った今でも続いている)彼女に出会って一緒に住みはじめて、レーベルが僕にとって重要じゃなくなってしまったんだ。家賃を払ったり色々お金がかかるから働かなきゃいけなかったし。大学を卒業してすぐにEARACHEで2年間働いていた。で、そのEARACHEってところはホントおかしくて。自分のレーベルをやると首になる会社だった。だからレーベルが楽しいって感じるよりも辛くなってしまっていたのかもしれない。したい事も全くする時間もお金も無くてストレスだけがたまっていった。OUT OF ORDERって名前で再び新鮮な気持ちでレーベルをやろうと思って、ANNALISEのFETTERED EPをリリースしたけど。本当はSNUFFY SMILEと共同リリースになるはずだった。けれども正直な話、彼等にそのコピーを送るお金も無かったんだ。3年前にEARACHEを辞めてロンドンに引っ越して、今は昼間CDをプレスする所で働いている。ずーっとレーベルを再びやろうと思って気付いたら99年の初めになっちゃったんだよ。」

▲どうして再びレーベル活動を再開しようと思ったの?

A「一つの事柄が原因で再びレーベルとして活動しようって思わせてくれたのなら、ANNALISEのEDが僕に彼等のアルバム”Our StoryGoes Like This”をリリース前に送ってくれた事。その時に、これは今でも思うけど99年のベストアルバムになるって思った。そのアルバムはPIG DOGがリリースしたんだけど、僕も何かしたかった。彼等のシングル”Signposts And Alleyways”をリリースしたのもその曲が良かったのもあるし、僕の中の音楽に対する情熱を再び呼び戻してくれたから。今のUK PUNK SCENEは過去のものよりも更に強くなって来ているって思うよ。たくさんの人がNOFXやそういった様なバンドをただ買うのでは無くてシーンをサポートしてくれていると思うし。」

▲最近のUKパンクロックシーンはすごい活発になってきてるよね。SKIMMER、解散したけどCHOPPER、OHNO EXPRESS、ANNALISE、THE ‘TONEみたいな素晴らしいバンドがいるし、LEATHER FACEも復活したし。レーベルだとCRACKLEとかRUGGER BUGGERも精力的だし。

A「確実に5年前よりも10倍以上、今はレコードなんかを売る事は簡単になってると思う。もしかしたらだけどこの状況がGREEN DAYやOFF SPRINGといったBIG NAMEのバンドの人気を下げて、みんなにもっと無名のバンドを探させているのかもしれない。僕が信じている事はその原因はFRACTURE MAGAZINEの存在っていうのがあると思う。イギリスの付加価値っていうのはMRRとは絶対に違うべきだし、そしてそれはFRACTURE MAGAZINEにはあると思う!それにSEAN(RUGGER BUGGER)とYOICH(SNUFFYSMILE)の様な人を通じて日本とイギリスに素晴らしいリンクがあってお互いに両国のバンドの助けをしている。僕のANNALISEのシングルもイギリスでよりも日本の方が売れているんだよ。」

▲今、大人気なEMOと言われているシーンについて、君はどう思う?

A「正直に言うと、レーベルを一旦止めて、EARACHEで働いてて、僕はその仕事が大っ嫌いっだったんだよ(もちろんDEATH METALもだけど!)。その頃はそんなに音楽に対する興味も無くて、家に帰ってCDを聴くっていうより映画を見てた。だから僕は何が音楽シーンで起きているのかも分からなかったし、エモバンドっていわれているバンドだって片手で数えられるぐらいしか聴いた事が無いんだ。聴いたやつについては何も思わなかった。僕はただポップパンクが好きなんだ。僕のALL TIME FAVORITE バンドはDESCENDENTSだし。うん、ホントにポップパンクが好き!EMOっていわれるやつで最近聴いて気に入っているのはSUNFACTORのNEW CD。だけど僕にEMOについて聞かない方がいいよ。PROMISE RINGだってDEEP ELMのリリースのバンドだって聴いた事が無いんだから!」

▲最近のお気に入りバンドって?

A「BOSS TUNEAGEでリリースしているバンドと別にして、他のバンドで挙げるとしたらTHE ‘TONE、RAGGITY ANN、STOKOE、FATTY JONES (HDQ、LEATHER FACEのDICKIEとHDQの GOLLY、ABS、DUB WARのRICHIEによるバンド)、BEAUTY SCHOOL DROPOUTとアメリカのMULLIGAN STU。でも、結局いっつも聴いているのはSAMIAM、DESCENDENTS、ALL、DOUGHBOYS、ASEXUALSとかBIG STAR、GRAM PARSONSみたいなのかな。」

▲今までレーベルやってて一番の大きな問題って何かある?それと一番嬉しかった事は?

A「一番大きな問題っていうのは、すごい一杯リリースしたいバンドがあっても、金銭的な問題でその全てをリリース出来ないって事だよ。他の問題はいつも抱えている事で、君がBOSS TUNEAGE TOKYOとして今回やってくれる事になったけど、イギリスだけで無く世界中に自分のリリースしたものを広げて行きたいと思っているんだけど、最終的にはいつも上手くいかなくなってしまう事だよ。レーベルをやってて嬉しいと思う事は、新しいリリースが出来上がって、君に渡せる時かな?それに世界中の人達と連絡しあえる事かな。実際君だってバンドを助けたりしてるでしょう。僕はGOOBER PATROLがFAT WRECKと契約してリリースし続けてる事は、過去に僕は彼等の手助けをしていたからすごい嬉しいよ。個人的には彼等の新しいのよりも昔の音の方が好きだな。だけど今、彼等が僕をツアーに行かないかって誘ってくれている事だって嬉しいんだ。後は僕のレコードをメールオーダーしてくれる事。誰かが時間を割いて手紙を書いてくれて、そしてレコードを手に入れるためにお金を送ってくれるってことはすごい有り難い。僕はいつも全てのオーダーに対して、君たちのおかげで僕は新しいレコードを作る事ができるって感謝の気持ちを込めて、THANK YOU! って書いてるんだ。だから僕のTHANK YOUっていう気持ちは決して社交辞令なんかじゃなくって本心なんだよ。」

▲レーベルを続けていく為に何か信念っていうのはあるの?

A「次のリリースが出せるように毎回充分な数のレコードを売る事。僕はBOSS TUNEAGEがEPITAPHやFAT WRECKみたいになる事を期待してないし、そうなりたいと思った事も、一度も無いし。今の昼間の仕事をしなくても、レーベルだけやっていければすごい嬉しいね。だけど未だ実現しないけど(笑)。 僕は本当に自分の気に入ったものしかリリースしないし、売れそうだから出そうって気持ちを持った事も一度も無いんだよ。だって、次にリリース予定のFIVE FOOT NOTHINGなんてバンドは、カナダのバンドで自分達の地元でほんの数回しかライブをやって無くて、一本のデモをリリースして解散しちゃったバンドなんだよ。そのデモを11年後に僕がそれをCDをリリースする。彼等が余りにも無名過ぎるからあんまり売れないかも知れないけど。でも僕はすごい好きだから。自分でも馬鹿げてるやり方だと思うけど、そこがEPITAPHと僕の違いかな。」

▲レーベルをやりたいと思ってる日本の人達に何かアドバイスしてよ。

A「ただ君たちがやりたい事をすればいいんだよ!とにかく好きなバンドの最初のリリースをしなよ。もし、そのバンドの人達の意見に賛成できない時は遠慮しないでハッキリいう事。」

▲ありがとう、じゃ簡単な質問もするよ。好きな食べ物は?

A「絶対ピザ!もし僕の彼女が許してくれるなら、毎食、1週間ずっと、1年の52週間、ずっと食べる。ほんと好き!うんこ味のカレーとかは食べれないけど、ピザにうんこがのってても食べられるよ(笑)。」

▲地球最後の日を迎えたら何をしようと思う?

A「自分の友達や家族と出来るだけ時間を過ごして、ピザ食べて、ビール飲んで、好きな音楽だけ聴きまくって。あっ、そうそう、もしみんな死んじゃうなら、外を真っ裸で走り回る。これだけはゆずれないな。」

▲どうも下らない質問まで答えてくれてありがとう。じゃ、最後にこれからの予定は?

A「個人的に。ついに彼女のJULIEと結婚する事になったんだ。しかもラスベガスで。それからBOSS TUNEAGEとしてはJELLY GUN JACKっていう新しいバンドのシングルとアルバム、それにWORD BUGのアルバムの再発で、それには彼等のシングルも加える予定。えぇーと、他にはMAD AT THE SUNっていうANNALISEのメンバーがWORD BUGをやる前にやってたバンド、もちろんさっき言ったFIVE FOOT NOTHINGに夏にはTHE UNKNOWNのNEWアルバムが出せるかな。とにかく、BOSSTUNE AGEを支えてくれたり、レコードを買ってくれた日本のみんなには本当に感謝してるよ!みんないい趣味してる!!それからANNALISEが日本に行くから絶対見に行くように。本当に彼等は最高だから!」

(※このインタビューはVol.3(2000年1月)に掲載したものです。)