VELOCITY interview

メロディック・パンク3人組が語る彼らの楽曲が味わい深い理由(わけ)

メロディック・パンクでも他にはいないバンドになろう! そんな想いの下、福島県いわき市出身の3人が東京で結成したVELOCITY。その彼らが結成7年目にして、遂に完成させた初の単独音源となる1stアルバム『MIDDLE OF NOW』は結成当初の想いが見事、実ったことを思わせる充実作。全12曲30分という極めて簡潔な作品にもかかわらず、物足りなさをこれっぽっちも感じないのは、90年代のパンクのみならず、50年代のオールディーズにまで遡ってさまざまなロックを聴いていたサカモトが作る楽曲の味わい深さが大きいのだろう。その味わい深さを堪能するために、何度でもリピートして聴いてほしい。もちろん、疾走感満点の演奏も申し分ない。これまで知る人ぞ知る存在だった彼らはこの作品をきっかけに飛躍を遂げるに違いない。

MEMBER(L→R):カツユキ(G/Cho) サカモト(Vo/B) カマクラ(Dr/Cho)

Interviewed by:山口智男 (indies issue vol.46掲載)

▲このバンドを始めた時、どんなバンドをやりたいと考えていたんですか?

サカモト「ギターの音が前面に出ているバンドで、なおかつメチャメチャ歌っちゃっている、っていうバンドですね。それは話し合いもせず、スパッとそうなりました。」

▲つまり、3人とも同じような音楽を聴いていたということ?

サカモト「それはまた違うんですけどね。」

▲じゃあ、3人が共通して大好きだっていうバンドというと?

サカモト「ディセンデンツ/オールですね(とキッパリ)。やっぱり衝撃を受けましたからね。オールの『MASS NERDER』をリアルタイムで買ったんですけど、渋いというか、大人の感じなんですよね。一時期はディセンデンツ/オールにそっくりな感じでやろうっていうテンションもあったんですけど、今はもういい意味で忘れているというか。アルバムを聴いてもらえればわかってもらえるはずなんですけど、VELOCITYのオリジナリティが出ていると思います。」

▲今回、アルバムを作るにあたっては、どんな作品にしたいと考えていたんですか?

サカモト「聴いてもらえればわかると思うんですけど(笑)、メロディック・パンクをやろうってスタートしたんですけど、結果としてというか、これまでの積み重ねがロックになりましたね。」

▲収録されている全12曲はこれまでの集大成?

カツユキ「いや、新しめの曲ですね。過去のデモの録り直しは入れてないです。」

サカモト「メチャメチャ話し合った結果、そうなりました。二人は集大成にしたいと考えていたんですけど、新しいVELOCITYを見せたいから申し訳ないけど、やらせてくれって俺が決めました。それでもベスト的な内容になっています!」

▲それは最新のVELOCITYが一番いいということですか?

サカモト「そうですね。一番新しい作品が一番カッコ良くないと、やっぱりバンドはダメだと思います。1stだよとか、2ndだよとかっていう人もいるけど、俺は最新作が一番カッコ良くなくちゃいけないと思ってます。それが俺たちのアルバムに新曲を入れたことと、どう繋がるかわからないですけど。」

▲いや、ちゃんと繋がってますよ。今回のアルバムに対する意気込みはしっかりと伝わってきました。新作を聴かせてもらって、パッと聴きのインパクトだけで終わらずに聴けば聴いた回数だけ味わい深さが出る作品だと思いました。

カマクラ「それはサカモッチャンの…。」

カツユキ「性格じゃないの?」

カマクラ「え、性格?! 歌じゃなくて?」

カツユキ「内面的なものがメロディーに表れていると思うんですよ。」

カマクラ「ああ、それは出てるでしょ。」

カツユキ「歌詞もそうなんですけど、ネガティブなんですよ(笑)。」

サカモト「でも、最後にはポジっているだろ?」

カツユキ「ああ、わかるわかる。」

サカモト「曲もできたからって、すぐに聴かせたりしないですね。ある程度、作り込んでから自信のあるものしか聴かせない。家には1000曲ぐらいあるんですけどね。1000曲? そんなにないか。1000フレーズですね(笑)。」

▲二人に聴かせる前に、まず自分の中でふるいにかけるわけですね。

カツユキ「いや、バンドで形にしてからもふるいにかけるんですよ(笑)。」

サカモト「それは詰めが甘かったってことですよ。」

▲ところで、アルバム・リリース後の活動予定は?

カツユキ「まずリリース前の8月8日にレコ発があります(笑)。会場を押さえちゃったんですよ。」

サカモト「アルバムはギリギリ、物販には並ぶと思います。」

カツユキ「その後は12月まで全国ツアーですね。」

サカモト「ちゃんとしたツアーは初めてなんで、今から楽しみですね。」

カツユキ「行ったことがある所には、やっとアルバムを持ってきたぞという気持ちで臨みます。初めての所は全力でアピールしたいですね。それで、また来てほしいってなればいいですね。」

サカモト「いいのができたんで、とにかくいろいろな人に聴いてほしいです!」

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